華やかなイメージのある美容師の仕事ですが、実際の働き方はどのようなものなのでしょうか。近年は多様な働き方が増え、自分に合ったスタイルを見つけやすくなっています。

本記事では、美容師の現状と将来性について、雇用形態、収入、キャリアパスなどさまざまな視点から詳しく解説します。

 

美容師の現状とは

美容師の現状を理解するためには、美容院業界全体の動向や美容師の働き方に注目することが重要です。近年、美容院の数は増加傾向にあるとされています。厚生労働省が発表している「令和3年度衛生行政報告例」によると、2022年度末の理容・美容所の施設数は全国で264,223件です。2021年3月末は257,890件だったため、1年間に6,333件増えたことになります。

 

出典：厚生労働省「令和3年度衛生行政報告例の概況」

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/21/

「令和2年度衛生行政報告例の概況」

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/20/

 

美容院が増えた背景

その背景にはいくつかの要因が考えられます。まず、美容院の数が増加している理由の一つは、美容への関心が高まっていることです。SNSの普及により、美容情報が瞬時に広まり、トレンドに敏感な若年層を中心に美容意識が向上しています。このような需要の高まりを背景に、美容院の新規開業が相次いでいると考えられます。

 

また、美容院の多様化も進んでおり、カットやカラーリングに特化したサロンや、リラクゼーションを重視したスパ併設のサロンなど、顧客のニーズに応じたサービスを提供する店舗が増えています。

 

さらに、美容師の需要が安定していることも現状の特徴です。美容師の仕事は手に職を持つ専門職であり、一定の技術が求められるため、常に一定の需要があります。さらに、美容師はリピーターを獲得しやすい職業であるため、一度顧客との信頼関係を築けば、安定した収入が見込めるでしょう。

 

美容師の将来性

美容師の将来性は非常に明るいと言われています。その理由はいくつかありますが、特に以下のポイントが重要とされています。

 

需要の高さ

美容師の仕事は、「人々が美しくなりたい」という普遍的なニーズに基づいています。景気変動や社会情勢の影響を受けにくく、安定した需要が見込まれるでしょう。特に近年は、高齢化社会の進展により、白髪染めや薄毛対策への需要が高まっています。また、男女平等の意識の高まりやジェンダーレスな社会への移行により、男性の美容意識も向上しており、男性向けの美容サービスも拡大しています。

 

全国どこでも活躍できる

美容師の資格を持っていると、全国どこにいても職に困ることはほとんどありません。美容院は都市部だけでなく、地方や郊外にも多く存在しており、美容師の需要は全国的に安定しています。移住や転居を考える際も、美容師の資格があれば新しい土地でも比較的容易に仕事を見つけられるでしょう。

 

専門職としての強みがある

美容師は専門的な技術を持つ職業であり、そのスキルは高度に評価されます。ヘアカット、カラーリング、パーマ、スタイリングなど、幅広い技術を身につけることで、顧客からの信頼を得ることができ、リピーターを確保できます。こうした専門職ならではの強みが、美容師としての安定した収入につながるでしょう。

 

多様な働き方ができる

美容師の働き方は、サロン勤務以外にもフリーランスや講師など、多様化しています。近年では、IT技術を活用したオンライン接客や動画配信など、新たな働き方も生まれています。ライフスタイルやキャリア目標に合わせて、自分に合った働き方を選択できる点が、美容師の魅力の一つです。

 

技術力とセンスで勝負

美容師は、技術力とセンスで勝負する仕事です。お客様に喜んでもらえたときの喜びは格別であり、高い達成感を得られるでしょう。また、コンテストやセミナーなどを通じて、常に技術を磨き、自己研鑽を続けることができます。

 

独立開業も可能

美容師はサロンで働くだけでなく、フリーランスとして活動したり、自分のサロンを開業したりすることも可能です。特に最近では、SNSやインターネットを活用した個人のブランディングが重要となっており、自分のスタイルや技術を発信することで、独自の顧客基盤を築く美容師も増えています。独立開業やフリーランスとして成功すれば、収入の増加や働き方の自由度が大幅に向上するでしょう。経営に関する知識や経験が必要となりますが、成功すれば高い収入を得られます。

 

美容師のこれからの働き方

美容師の働き方は、時代とともに大きく変わりつつあります。従来の働き方から、新しいスタイルへとシフトする中で、美容師のキャリアパスも多様化しています。以下に、美容師の現状とこれからの働き方について詳しく解説します。

 

修業時代の現状

現在、多くの美容師はアシスタントとして修業時代を経験します。この期間は、美容師としての基礎技術を習得するための重要なステップとされています。多くの場合、閉店後もサロンに残り、練習を積むことが一般的です。カットやカラーリングの技術を磨くために、長時間にわたって自主練習を行うことも少なくありません。このようにして技術を習得した美容師は、そのまま同じサロンに勤めることが多く、店舗の一員としてキャリアを積んでいきます。

 

これからの美容師の働き方

・フリーランス

フリーランスとして働く美容師が増えています。フリーランス美容師は、特定のサロンに所属せず、自分でスケジュールを管理し、顧客を持つことができます。フリーランスの働き方は、柔軟な時間管理が可能であり、自分のライフスタイルに合わせた働き方ができる点が魅力です。また、収入も自分次第でコントロールできるため、成功すれば高収入を得ることも可能です。

 

・業務委託

業務委託契約を結ぶ美容師も増加しています。この働き方では、美容師が独立した事業者としてサロンと契約し、自分の顧客にサービスを提供します。サロンは場所や設備を提供し、美容師はサービスの対価として報酬を得る形態です。業務委託は、サロンのブランド力を活用しつつ、自由度の高い働き方を実現できます。

 

・シェアサロン

シェアサロンの利用も増えています。シェアサロンは、美容師が必要なときにだけスペースを借りて施術を行えるサロンです。これにより、美容師は初期投資や固定費を抑えつつ、独立した働き方を実現できます。シェアサロンは特に都市部で人気が高まりつつあり、自由な働き方を求める美容師にとって魅力的な選択肢となっています。

 

・派遣

美容師の派遣サービスも普及しています。派遣美容師は、派遣会社を通じてさまざまなサロンやイベントに出向き、短期間でサービスを提供します。派遣の働き方は、多様な現場での経験を積むことができるため、スキルの幅を広げる機会になるでしょう。また、一定期間ごとに働く場所が変わるため、飽きが来ず、新しい環境で常に刺激を受けられます。

 

働き方を選べる美容師を目指すポイント

働き方を選べる美容師になるためには、戦略的なキャリアプランニングとスキルの向上、そしてセルフプロデュースが重要です。以下に、働き方を自由に選べる美容師を目指すための具体的なポイントを紹介します。

 

キャリアプランを考える

・長期的な目標設定

まず、自分が美容師としてどのようなキャリアを築きたいか、長期的な目標を設定しましょう。たとえば、フリーランスとして成功したいのか、独立して自分のサロンを開業したいのか、または業務委託や派遣を活用して多様な経験を積みたいのかを明確にします。

 

・キャリアマップの作成

目標に到達するためのステップを具体的に描いたキャリアマップを作成します。必要なスキルや経験、達成すべきマイルストーンを明確にすることで、計画的にキャリアを進められます。

 

スキルアップを目指す

・技術の向上

美容師としての基本的な技術はもちろんのこと、新しい技術やトレンドにも常に敏感でいることが重要です。定期的なトレーニングやセミナー、ワークショップに参加して、最新の技術を習得しましょう。

 

・資格の取得

美容師としての資格はもちろん、カラーリストやネイル、メイクアップなど関連分野の資格も取得することで、提供できるサービスの幅を広げられるでしょう。これにより、顧客のニーズに幅広く対応できます。

 

セルフプロデュースする

・ブランドの確立

自分自身のブランドを確立しましょう。得意なスタイルや特長を明確にし、それを一貫して発信することで、顧客に覚えてもらいやすくなります。ロゴや名刺、ウェブサイトなどを統一感のあるデザインにすることも効果的です。

 

・SNSの活用

SNSはセルフプロデュースの強力なツールです。施術例のビフォーアフターの写真や動画、日々の活動を発信し続けることで、自分の技術や人柄を広くアピールできます。定期的な投稿やストーリー、ライブ配信などを活用してフォロワーとのエンゲージメントを高めましょう。

 

・コミュニケーション能力

顧客とのコミュニケーション能力を高めることも重要です。顧客のニーズを正確に把握し、適切な提案を行うことで、信頼関係を築くことができます。リピーターを増やすためには、技術だけでなく、サービス精神も大切です。

 

柔軟な働き方を追求する

・フリーランスや業務委託

フリーランスや業務委託の働き方を検討し、自分に最適な形態を選びましょう。これらの働き方は、自由な時間管理や高収入の可能性を提供しますが、自身のマネジメント能力も求められます。

 

・シェアサロンや派遣

シェアサロンや派遣の働き方も選択肢に入れることで、多様な現場で経験を積むことができます。これにより、スキルの幅が広がり、さまざまな環境に適応できる柔軟性が身につきます。

 

これらのポイントを押さえながら、自分に合った働き方を見つけ、キャリアを積んでいくことで、美容師としての成功と充実した働き方を実現することができるでしょう。

 

高度な技術を持つ専門職である美容師の需要は安定している

美容師の現状は美容院の増加と安定した需要に支えられながらも、労働環境の改善と働き方の多様化が求められる時代に突入しています。これからの美容師の働き方は、従来の修業時代を経てサロンに勤めるスタイルに加え、フリーランスや業務委託、シェアサロン、派遣など、さまざまな形態が選択肢として広がっています。

これにより、美容師は自分のライフスタイルやキャリアプランに合わせた柔軟な働き方を選ぶことが可能です。美容師という職業は、高度な技術を持つ専門職でありながら、その働き方が多様化することで、ますます魅力的で安定した将来性を持つ職業となっています。

今後の業界の発展とともに、美容師としてのキャリアの可能性はますます広がっていくでしょう。