コラム
美容師になるには?必要な資格やステップ、将来の展望を解説
美容師とは、人々の外見や印象を大きく変える大切な職業です。技術力はもちろんのこと、コミュニケーション能力も求められるやりがいのある仕事です。本記事では、そんな美容師になるまでの道のりや必要な資格、将来の展望について詳しく解説します。美容師を目指している方は、ぜひ最後までご覧ください。
美容師になるには?基本ステップ
まずは、美容師になるための基本的なステップをご紹介します。
美容専門学校に通う
美容師になるための第一歩は、美容専門学校への入学です。美容専門学校では、美容師として必要な技術と知識を総合的に学ぶことができます。カット技術の基礎からはじまり、カラーリングやパーマなどの応用技術、さらには頭皮ケアやトリートメントといったヘアケアの知識まで、幅広い内容を習得していきます。特にカット技術では、ベーシックカットの基礎やレイヤーカット、グラデーションカットなどのさまざまな技法を学ぶことが可能です。また、カラーリングでは色彩理論や薬剤知識なども含め、総合的な技術を身につけていきます。
専門学校を選ぶ際は、国家試験の合格実績や実習設備の充実度、就職支援体制など、あらゆる角度から見て検討しましょう。一般的に、専門学校には、昼間・夜間・通信課程の3つのコースがあります。高卒が入学条件としているところが多いですが、中には中卒で入れる専門学校もあります。その場合、高卒資格も同時に取れる高等専修学校を選ぶのがおすすめです。
美容師免許の取得
美容師として働くためには、国家資格の取得が法律で定められています。これは美容師法に基づくもので、お客さまの安全を守り、高品質なサービスを提供するために不可欠な制度なのです。
国家試験は毎年2回、春期と秋期に行われます。時期によって合格率に差があり、2~3月に実施される春期の合格率は85~92%程度、8~9月に実施される秋期の合格率は58~62%程度となっています。受験資格は以下のとおりです。
課程別の必要な年数
・昼間課程:2年以上
・夜間課程:2年以上
・通信課程:3年以上
参照:公益財団法人「理容師美容師試験研修センター」
https://www.rbc.or.jp/exam/qualify/
試験は実技試験と筆記試験の二部から構成されています。実技試験では、ワインディングやカット、オールウェーブセッティングなどの技術に加え、衛生管理や器具の適切な取り扱いも評価されるのが特徴です。筆記試験では、関係法規や制度、衛生管理、保健、香粧品化学などの幅広い知識が問われます。
合格するためには、日々の反復練習に加え、模擬試験や先輩・講師からのアドバイスの積極的な活用が効果的です。多くの専門学校では、試験対策としてサポート体制を整えています。
アシスタントからスタート
通常、美容師としてのキャリアは、アシスタントからスタートします。アシスタント時代は、シャンプーやブローの基本的な作業からはじまり、徐々にカラー剤やパーマ液の塗布補助など、より専門的な業務へと移行していきます。アシスタント期間は2~3年程度が一般的ですが、この時期に基礎的な技術を確実に身につけられるかどうかで、その後のキャリアを大きく左右するでしょう。
アシスタントからスタイリストへの昇格には、基本的な技術の習得はもちろんのこと、タイムマネジメント能力やお客さまへの対応力など、幅広いスキルが求められます。なお、多くのサロンでは社内テストを設けており、これらの能力を総合的に評価しています。
美容師に必要なスキルと資格
美容師に必要なスキルや資格には、大きく分けて以下の2つが挙げられます。
技術的スキル
美容師として成功するためには、確かな技術力が不可欠です。基本となるカット技術では、さまざまなヘアスタイルに対応できる応用力が求められます。また、カラーリングでは色彩理論や薬剤知識を深く理解し、お客さまの要望に合わせた提案ができる応用力が必要です。パーマ技術においても、デジタルパーマや縮毛矯正など、幅広い技術が求められるでしょう。
なお、これらの技術は常に最新のものに保つ必要があり、美容セミナーへの参加や美容雑誌の購読、SNSでの情報収集など、継続的な学習が欠かせません。近年、特にオンライン講座も充実しているため、より効率的に新しい技術を学ぶことができます。
コミュニケーション力
技術力と同様に重要なのが、コミュニケーション力です。お客さまの要望を正確に理解し、適切な提案ができるほどのカウンセリング能力は、美容師として成功する上で非常に重要です。また、施術内容を分かりやすく説明する力も必要となります。
さらに、リピート率を向上させるためには、丁寧な接客はもちろんのこと、お客さま一人一人に合わせたきめ細かな対応が大切です。施術後のアフターフォロー、SNSを活用した情報発信なども、お客さまとの関係を深める有効な手段といえます。
美容関連の資格取得のメリット
美容師としてのキャリアをさらに広げる上で、さまざまな資格を追加で取得するのも良いでしょう。例えば、ヘアケアマイスターの資格を取得すると、より専門的なヘアケアの知識と技術を習得できます。また、カラーリスト検定に合格すれば、一層高度なカラーリング技術を証明できるでしょう。
これらの資格は、単なる資格取得にとどまらず、実際のサロンワークでも大きな強みとなります。例を挙げると、ヘアケアの専門知識を生かした髪質改善メニューを提案したり、トレンドを取り入れた最新のカラーリングテクニックを提供したり、サービスの幅をより広げていくことが可能です。その結果、新規顧客の獲得やリピート率の向上にもつながり、収入増加にも寄与するでしょう。
美容師のキャリアパスと将来の展望
それでは、美容師にはどのようなキャリアパスがあるのでしょうか。将来の展望についても併せてご紹介します。
スタイリストからトップスタイリストへ
通常、美容師のキャリアはアシスタントからはじまり、スタイリスト、そしてトップスタイリストへと、段階的にステップアップしていきます。収入面を見ると、アシスタント時代は年収200~250万円程度ですが、スタイリストになると300~400万円程度に上がります。さらにトップスタイリストになった場合、500~800万円以上の収入も実現可能でしょう。
また、スタイリストとしてのキャリアを重ねることで、技術料や指名料を高く設定できるため、より安定した収入を得られるようになります。特に都市部の高級サロンでは、一流スタイリストとして、1,000万円を超える年収を実現している例も少なくありません。
トップスタイリストになるためには、確かな技術力の習得に加え、独自のスタイルを確立することが重要です。また、固定客を獲得し、安定した予約状況を確保していくことも必要です。近年においては、SNSでの情報発信力も有力な手段となっています。自身の作品や技術を効果的に発信すれば、新規顧客の獲得にもつながるでしょう。
さらに、コンテストやショーに出場し、受賞歴を重ねることにより、業界内の知名度を上げることも重要です。受賞歴には単なる名誉以上の価値があり、高い技術力の証明となるとともに、サロンの集客力向上にも貢献するでしょう。加えて、後輩の育成にも携わり、サロン全体の技術力向上に貢献することも、トップスタイリストに求められる重要な役割です。
サロンマネージャーや独立・開業
キャリアを積んだ美容師の選択肢として、サロンマネージャーへの昇進や独立・開業があります。サロンマネージャーは、技術面でのリーダーシップに加え、経営面における視点も必要です。主に、スタッフのマネジメントや売上管理、新人教育、戦略的なマーケティングまで、幅広い場面で責任を担っています。
一方、独立・開業する場合は、より入念な準備が必要です。資金面については、1,000~1,200万ほど必要とされています。内訳として、内装工事費に500万円以上、設備費として200万円以上、さらに運転資金として300~500万円程度が必要となることが一般的です。ただし、これらの金額は立地や規模によって大きく変動します。
特に開業に向けては、綿密な事業計画の作成が不可欠です。立地選びや資金計画、スタッフの採用、集客戦略など、経営者の視点でさまざまな要素を検討しなければなりません。また、開業後も安定した経営を続けるために、常に新しいサービスや技術を取り入れ、サロンの価値を高め取り組みが求められるでしょう。
美容師以外の道への進出
美容師としての経験は、さまざまな分野でのキャリア展開に生かすことができます。例えば、ヘアメイク関連でいうと、CM・雑誌などのメディア関連や、ブライダル業界でのヘアメイクアーティストとして活躍できるでしょう。特にブライダル業界では、新婦の人生で大切な一日を演出する重要な役割を担うため、やりがいのある仕事として人気があります。
教育分野では、美容専門学校の講師として、次世代の美容師の育成に携わるという道もあります。技術指導のみならず、自身の経験を生かした実践的なアドバイスを提供すれば、より効果的な教育を行えるでしょう。また、セミナー講師として、現役の美容師に向けた技術指導も可能です。教育者としてのキャリアは、自身の技術や知識を体系的に整理し、より深い理解を得る機会にもなるでしょう。
さらに、美容業界での経験を生きかして、美容ライターとして技術解説や業界トレンドの記事執筆、美容商品の開発に携わることもできます。特に近年では、SNSやオンラインメディアの発展により、美容に関連するコンテンツ制作の需要が高まっています。
自身の将来の展望を考えておこう
美容師という職業は、技術力と創造力を生かせるやりがいのある仕事です。専門学校における教育や国家資格の取得からはじまり、アシスタント、スタイリスト、そしてトップスタイリストへと、明確なキャリアパスが存在します。さらに、サロンマネージャーや独立開業、あるいは美容業界の関連分野へ転身するなど、経験を積むことでさまざまな可能性が広がるでしょう。重要なことは、技術力の向上とともに、コミュニケーション能力や経営感覚も磨くことです。また、常に新しい技術やトレンドをキャッチアップし、自身のスキルを更新し続ければ、長期的なキャリアの成功にもつながるでしょう。美容師の経験は、どのようなキャリアパスを選択しても、必ず自身の強みとなり、大切な資産となるでしょう。