コラム
美容師の平均年収はどれくらいまで見込めるの?店長からアシスタントまで役職別に解説!
美容師は、技術職として人気の高い職業です。しかし、給料はどのくらいもらえるのか気になる人も多いのではないでしょうか。美容師の給料は、役職や経験年数によって大きく異なります。そこで、本記事では美容師の平均年収を役職別に解説します。また、年収をアップさせるための方法などもご紹介します。
美容師全体の給料・平均年収はどれくらい?
厚生労働省のデータによると、美容師の年収(全国平均)は、約330.1万円です。
さらに、ハローワークの求人統計データによると、月額と有効求人倍率は以下の通りです。
- 求人賃金(月額)約25.1万円
- 有効求人倍率 約5.66
また、勤務先の規模や立地、個人のスキルや経験なども給料に影響します。大規模な美容室や都市部で働く美容師は、給料が高い傾向にあります。また、技術力や接客スキルが高い美容師は指名客が増え、給料アップが期待できます。
出典:厚生労働省jobtag「美容師」
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/116
役職による収入の変化はどの程度?
では、役職ごとに収入はどの程度変化するのでしょうか。ここでは、雇用形態での求人を元に、役職別の一般的な収入についてご紹介します。
店長の場合
美容室の店長になった場合の平均月収は、約25~80万円と幅があります。年収にすると、約300~900万円です。
店長は、店舗の責任者として売上管理やスタッフ管理などの業務も担当します。そのため、アシスタントやスタイリストよりも給与が高く設定されています。ただし、地域や企業の規模によって差があるため、平均よりも少ない場合も、多い場合もあるでしょう。大規模な美容室や都市部で働く店長は、給料が高い傾向にあります。
また、店長には歩合制や指名制の給与制度が適用される場合もあり、その場合は収入アップが期待できます。
トップスタイリストの場合
トップスタイリストとは、技術力や接客スキルが高く、多くの指名客を持つ美容師のことです。トップスタイリストになると、基本給に加えて、歩合制や指名制の給与制度が適用される場合があり、さらに収入アップが期待できます。
また、トップスタイリストは雑誌やテレビなどのメディアに出演する機会も多いため、広告料や講演料などの収入も得られます。具体的には、以下のような収入が考えられます。
基本給:月給20~30万円
歩合給:売上に対する歩合率(約10~20%)
指名料:指名客からいただく料金
広告料:雑誌やテレビなどのメディアに出演した際に受け取る報酬
講演料:講演会で受け取る報酬
なお、トップスタイリストの収入は勤務先の規模や立地、個人のスキルや経験によっても異なります。大規模な美容室や都市部で働くトップスタイリストは、さらに高い収入を得ているケースもあります。年収1,000万円以上を目標にしている方は、トップスタイリストを目指すという方法もあるでしょう。
また、トップスタイリストになるためには、高い技術力と接客スキルを身につけることが重要です。さらに、最新のトレンドや技術を常に学び続ける姿勢も大切です。
スタイリストの場合
スタイリストの平均年収は、約300万円です。スタイリストの収入は、以下の要素によって大きく異なります。
・勤務先の規模や立地
・技術力や接客スキル
・指名客の有無
大規模な美容室や都市部で働くスタイリストは、給料が高い傾向にあります。また、技術力や接客スキルが高く、多くの指名客を持つスタイリストはさらに収入アップが期待できます。具体的には、以下のような収入が考えられます。
基本給:月給20~30万円
歩合給:売上に対する歩合率(約10~20%)
指名料:指名客からいただく料金
これらの収入を合わせると、年収300~500万円は十分に可能といえるでしょう。
「日本一稼ぐとされる店長」はどれくらい稼いでいるの?
原宿・表参道エリアなどに店舗を構える「OCEAN TOKYO」代表取締役社長の高木琢也氏は、かつて「日本一稼ぐとされる店長」と呼ばれていました。月間売上が1,200万円という、美容室業界では難しいとされる数字を達成したこともあるそうです。
髙木琢也氏は、技術力の高さだけでなく、トレンド感のあるスタイルや顧客のニーズを的確に捉えた提案力で、多くのファンを獲得しています。また、日本武道館でのヘアショーに最年少の美容師として出演するなど、メディアにも多数出演しています。
髙木琢也氏は、美容業界のトップスタイリストとして活躍するだけでなく、経営者としても成功を収めています。彼の活躍は美容業界に大きな影響を与えており、今後もその活躍が期待されています。
年齢による収入の変化はどの程度?
美容師は、一般的に年齢が上がるごとにスキルや経験を身につけるため、収入が上がる傾向にあります。ここでは、厚生労働省のサイト「jobtag」のデータを元に、年齢ごとの収入の変化をご紹介します。
10代の場合
19歳までの10代の場合、平均年収は約222.9万円とされています。
10代の美容師の場合、まだアシスタントとして就業している場合が多いため、平均年数は約220万円となっています。個人差や美容室の方針などにもよって異なりますが、3年程度アシスタントを務めることが多いようです。
20代の場合
・20~24歳 約258.5万円
・25~29歳 約327.98万円
20代前半の美容師は、アシスタントとして働いている場合が多く、平均年収は約250万円です。歩合給や指名料が支給される場合もありますが、基本給が低いため、年収は200~300万円程度にとどまることが多いとされています。
ただし、20代後半になると、スタイリストに昇格する人も増えてきます。スタイリストになると、月給は20万円台~30万円台にアップし、歩合給や指名料も加わるため、年収は300~400万円程度にアップします。
また、20代のうちに独立や開業をする美容師もいます。独立や開業することで、自分の頑張り次第で年収を大きくアップさせることができるでしょう。
30代の場合
・30~34歳 約381.73万円
・35~39歳 約386.56万円
30代になると、さらに技術力や接客スキルを磨き、指名客を増やすことで年収アップが期待できます。また、独立や開業をする美容師も増えてくる年代です。独立や開業することで、年収を大きくアップさせることができる可能性もあります。
地域によって年収は違う?
一般的に、東京都などの都市部の方が地方よりも年収が高くなる傾向にあります。都市部は店舗も多いため、店舗ごとに大きく差がありますが、地方よりも都市部の方が、50万円以上年収が高い場合もあります。
これは、都市部の方が地方よりも物価が高いため、美容室のメニュー単価も高くなることが理由です。都市部には多くの美容室が集まっており、競争も激しいため、技術力や接客スキルの高い美容師が求められています。また、美容師の年収は、勤務先の規模や立地によっても異なります。大規模な美容室や都市部で働く美容師は、給料が高い傾向にあります。
出典:厚生労働省jobtag「美容師」
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/116
日本でも屈指の美容室数を誇る表参道・原宿の平均年収は?
ある求人サイトを見ると、表参道・原宿の美容師の平均年収は、約360~400万円程度です。これは、東京都の平均年収とほぼ同等の金額とされています。
表参道・原宿は、日本でも屈指の美容室数を誇るエリアです。また、ファッションやトレンドの最先端を行くエリアとしても知られています。そのため、表参道・原宿で働く美容師は、技術力や接客スキルの高い人材が求められています。
また、表参道・原宿には、ハイクラスな美容室も多く存在します。このような美容室で働く美容師は、さらに高い年収を獲得できる可能性があります。目標を持って技術を磨くことで、20代で年収1,000万円以上も可能といわれています。
美容師の給料はなぜ安い傾向にあるのか?
美容師の給料が安い傾向にある理由には以下が考えられます。
固定費が高い
美容室を経営する上で必要な固定費が高いため、人件費を抑えざるを得ないケースが考えられます。美容室の固定費には、以下のような費用が含まれます。
・店舗の賃料
・シャンプー台などのリース費用
・水道光熱費
・宣伝広告費
・人件費
美容室は、人通りの多い場所に店舗を構えることが多いため、賃料が高額になる傾向があります。また、シャンプー台などの機器は高額なため、リース費用も高額になります。さらに、美容室は常に水と電気を使用するため、水道光熱費も高額になるでしょう。
これらの固定費は、売上に関わらず常に発生するため、美容室の経営を圧迫します。そのため、人件費を抑えることで経営を安定させる必要があると考えられます。
この考え方は、美容室の競争が激化したことで、メニュー単価が下落し、売上が減少したことが背景にあります。売上が減少すると、固定費を賄うために、人件費を削減せざるを得なくなるというわけです。
また、美容室の経営者は、美容師の技術や接客スキルを向上させるために、教育や研修に投資する必要があります。そのため、人件費を上げることで、教育や研修に投資する余裕がなくなるという問題もあります。
今後、美容師の給料改善が進むためには、美容室の経営が安定し、固定費を抑えられる仕組みが必要となるでしょう。そのためには、美容室の競争を抑制し、メニュー単価を維持していくことが重要です。また、美容師の技術や接客スキルを向上させるための支援制度を充実させることも必要でしょう。
美容室の競争激化による価格下落
美容室の競争が激化したことで、メニュー単価が下落しています。そのため、美容師の収入もそれに伴って下落しています。美容室の競争激化の原因としては、以下のようなことが挙げられます。
美容室の店舗数増加
美容室の店舗数は、年々増加しています。厚生労働省統計『令和3年度 衛生行政報告例』によると、2022年には全国で約26万店の美容室が存在しています。店舗数が増えることで、競争が激化し、メニュー単価が下落する傾向にあります。
低価格店の増加
近年、低価格の美容室が増えています。これらの美容室は、人件費や設備投資を抑えることで低価格を実現しています。低価格店の増加も競争激化を加速させ、メニュー単価の下落につながっています。
ネット予約の普及
ネット予約の普及も、競争激化につながっています。ネット予約では、複数の美容室の料金を比較して予約することができます。そのため、美容室は他店との価格競争にさらされています。これらの要因により、美容室の競争が激化し、メニュー単価が下落しています。メニュー単価の下落は、美容師の収入にも影響を与え、給料の安さにつながると考えられます。
美容師の職務内容
熟練度と給与の相関が低いことも原因の一つとされています。美容師の技術や接客スキルは、経験を積むことで向上していきます。しかし、経験を積むことで給与が大幅にアップするわけではありません。そのため、美容師は経験を積んでも給与が安いままになってしまう可能性があるのです。
また、労働時間の長さも問題です。美容師は接客業であるため、労働時間が長くなる傾向にあります。また、美容室はシフト制を採用していることが多いため、不規則な勤務時間になることもあります。そのため、労働時間の長さや不規則な勤務時間の割合が給与の安さにつながっていると考えられます。
歩合制の採用が多い
美容師の給与体系は、歩合制を採用しているケースが多いです。歩合制とは、売上に対する歩合率で給与が決まる仕組みです。そのため、売上が上がれば給与も上がりますが、売上が下がれば給与も下がります。歩合制の採用は、美容師の収入の不安定さを招いていると考えられます。
一人前になるまで時間がかかる
美容師が一人前になるまで時間がかかるとされています。その理由には、以下が挙げられます。
技術や知識の習得に時間がかかる
美容師は、ヘアカットやパーマ、カラーリングなど、さまざまな技術や知識を身につける必要があります。これらの技術や知識は、一朝一夕で習得できるものではありません。美容師の国家試験では、カット、パーマ、カラーリング、メイクなど、さまざまな技術が問われます。また、美容師として働き始めてからも、常に新しい技術やトレンドを学び続ける必要があります。
経験を積む必要がある
美容師の技術や知識は、経験を積むことでさらに向上していきます。そのため、美容師として一人前になるためには、十分な経験を積むことが重要です。
顧客のニーズを理解する必要がある
美容師は顧客のニーズを理解し、それに応える技術や接客スキルを身につける必要があります。顧客の要望を正確に聞き取り、一人ひとりに合ったスタイルを提案するスキルが必要です。
また、美容師は顧客と信頼関係を築くことも重要です。そのためには、親身になって相談に乗ったり、心地よい時間を過ごしてもらったりする必要があるでしょう。
近年では、美容師の働き方改革や独立や開業支援の充実など、美容師の待遇改善に向けた取り組みも進んでいます。今後、これらの取り組みが進めば、美容師の給料が改善していく可能性もあるでしょう。
美容師でキャリアアップを目指すには?
美容師でキャリアアップを目指すことで、収入アップが期待できます。キャリアアップには、以下の方法があります。
技術を磨く
美容師のキャリアアップの基本は、技術を磨くことです。技術がなければ、顧客からの信頼を得ることができないため、キャリアアップは難しいでしょう。
技術を磨くためには、日々の練習はもちろん、セミナーや講習会などに参加して新しい技術やトレンドを学ぶことも重要です。また、先輩や上司から技術を教わることも効果的です。
接客スキルを磨く
美容師は技術だけでなく、接客スキルも重要です。顧客の要望を正確に聞き取り、一人ひとりに合ったスタイルを提案するスキルが必要です。
接客スキルを磨くためには、日々の接客の中で顧客とのコミュニケーションを大切にすることが大切です。また、接客に関するセミナーや講習会に参加して、接客スキルを学ぶことも効果的です。
役職に就く
美容師の役職には、スタイリスト、チーフ、マネージャーなどがあります。役職に就くことで責任と権限が与えられ、より高いレベルで仕事に取り組むことができます。
役職に就くためには、技術や接客スキルを磨くことはもちろん、リーダーシップやマネジメントスキルも身につける必要があります。経営やマネジメントの知識を身につけるためには、書籍やセミナー、講座などを活用するとよいでしょう。
フリーランスになる
フリーランスの美容師とは、個人事業主として働く美容師のことです。主に以下の働き方があります。
業務委託契約で働く
業務委託契約で働くフリーランスの美容師は、美容室と業務委託契約を結び、美容室の顧客に対して施術を行うという働き方です。美容室の従業員ではなく、個人事業主として働くため、労働時間や休日などの条件は、自分で決めることができます。また、売上から経費を引いた分が収入となるため、収入の額は自分の頑張り次第で大きく左右されます。
フリーランスとして独立する
フリーランスとして独立する美容師は、自分のサロンを経営するという働き方です。自分のスタイルでサロンを経営することができるため、やりがいを持って仕事に取り組むことができます。また、収入や働き方を自分でコントロールすることができるため、自分のライフスタイルに合わせて働くことができます。
独立する
独立することで、自分のお店を経営し、やりがいを持って仕事に取り組むことができます。
独立するためには、技術や接客スキルはもちろん、経営に関する知識やスキルも身につける必要があります。
独立するためには、開業資金が必要です。開業資金には、店舗の賃料や内装費、設備費、広告費などがかかります。開業資金を用意するためには、貯金や融資などを検討しましょう。
美容系のスキルを取得する
美容系の資格を取得することで、キャリアアップの可能性が広がります。スタイリストとして技術を磨き、トップスタイリストを目指す場合、美容師の資格だけでなく、ヘアカラー検定やヘアアレンジ検定などの資格も取得しておくと、より有利となります。また、役職に就く場合や独立する場合にも、美容系の資格を取得しておくと信頼度が高まり、有利に働くでしょう。
転職する
今よりも条件のよいサロンに転職する方法もあります。転職のためには、以下のポイントを押さえておきましょう。
自分の希望する条件を明確にする
転職する前に、自分の希望する条件を明確にしておくことが重要です。具体的には、以下の条件を検討しましょう。
・人間関係の良いサロンで働きたい
・技術をもっと磨きたい
・独立したい
・給与や待遇を上げたい
など、転職の理由は人によってさまざまです。転職の理由が明確になっていないと、自分に合った転職先を見つけにくいでしょう。
転職先の選定をする
自分の希望する条件に合ったサロンを探しましょう。転職サイトや求人情報誌などを活用するとよいでしょう。また、実際にサロンに足を運んで、雰囲気やスタッフの様子を確認することも大切です。
いろんな美容室を経験する
いろんな美容室を経験することも、キャリアアップにつながるでしょう。なぜなら、美容室によって、技術や接客のスタイルは異なるからです。いろんな美容室を経験することで、さまざまな技術や接客のスタイルを学ぶことができます。
また、多くの美容室を経験することで、さまざまなタイプの顧客と接することができます。顧客のニーズや要望を理解することで、よりよい提案ができるようになります。
多くの美容室を経験するためには、「派遣」という働き方があります。派遣社員は、さまざまな美容室を経験するのに適した方法です。派遣の美容師として働くことで、以下のようなメリットがあります。
自分の希望する美容室で働くことができる
派遣美容師として働く場合、自分の希望する美容室で働くことができます。そのため、自分の目標や適性に合わせて、最適な美容室を選ぶことができます。
さまざまな美容室を経験することができる
派遣美容師として働くことで、さまざまな美容室を経験することができます。美容室によって、得意とする技術やトレンドは異なります。いろんな美容室を経験することで、さまざまな技術やトレンドに触れることができ、自分の技術の幅を広げることができます。
また、さまざまなジャンルのお客様と接することで、お客様のニーズをより深く理解できるようになり、幅広いお客様に対応できるようになるでしょう。
人間関係のスキルを磨くことができる
美容師は、お客様とスタッフの両方と良好な人間関係を築くことが大切です。いろんな美容室を経験することで、さまざまなタイプの人と接する機会が増え、人間関係のスキルを磨くことができます。
また、異なる価値観や考え方を理解することで、コミュニケーション能力や柔軟性を高めることができます。
スキルアップを図ることができる
派遣美容師として働くことで、さまざまな技術や接客のスキルを磨くことができます。また、セミナーや講習会などの研修に参加する機会も多くあります。
派遣美容師として働くことは、美容師のキャリアアップを目指すための最適な方法の一つです。自分の目標や適性に合わせて、派遣美容師という働き方を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
美容師の平均年収は、厚生労働省の調査によると、約330.1万円です。美容師の年収は、技術や接客スキル、役職、勤務先の規模や立地などによって大きく異なります。技術や接客スキルが優れており、役職に就いている場合、年収はさらに高くなる可能性があります。また、都心の繁華街にある美容室や、有名な美容室で働いている場合も年収は高くなる傾向があります。美容師の年収を上げるためには、技術や接客スキルを磨くことが重要です。また、役職に就くことも年収アップにつながります。また、さまざまな美容室を経験したいのであれば、派遣という働き方もあります。自分の目標や適性に合わせて、最適な方法を選んで、美容師としてのスキルアップと年収アップを目指しましょう。