コラム

美容師の離職率は高い?その原因と自分に合ったサロンを探す方法
2024.10.03

美容師の離職率は高い?その原因と自分に合ったサロンを探す方法

美容師という職業は、多くの人々にとって憧れの職業の一つです。髪を美しく整え、お客様に喜びと自信を与える仕事は、確かにやりがいがあるでしょう。しかし、その華やかな外見とは裏腹に、美容師の世界には多くの課題が存在します。その中でも特に注目されているのが、高い離職率の問題です。本記事では、美容師の離職率の現状とその深刻さ、離職の原因、そして自分に合ったサロンを見つける方法についてご紹介します。

 

美容師の離職率の現状と深刻さ

美容業界における離職率の高さは、長年にわたり業界全体の課題となっています。

 

株式会社リクルートが発表した「美容サロン就業実態調査」によると、美容師の初職就業期間は1年未満が10.0%、1年以上~3年未満が26.7%で、3年未満の就業期間が36.7%となっています。

 

これらの数字は、他の業界と比較しても非常に高い水準にあるとされています。特に新人美容師の離職率が高いことが大きな問題です。美容師になるためには専門学校や美容学校で学び、国家資格を取得するなど、多くの時間と労力を費やします。それにもかかわらず、キャリアの初期段階で離職してしまう人が多いのです。

 

この高い離職率は、個人のキャリアに影響を与えるだけでなく、業界全体にも大きな影響を及ぼします。経験豊富な美容師が減少すれば、サービスの質の低下や技術の伝承の困難さにつながる可能性があります。また、常に新しいスタッフを採用し、教育しなければならないサロン側の負担も大きくなるでしょう。

 

参照:株式会社リクルート「美容サロン就業実態調査(2024年)美容師の初職就業期間は「3年未満」が36.7%。早期離職が起きる理由は?最初の職場を辞めた後に、美容師を継続するのは55.4%」

https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/2024/0425_14272.html#:~:text=%E3%80%90%E7%BE%8E%E5%AE%B9%E5%B8%AB%E3%80%91%E9%9B%A2%E8%81%B7%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%8C%87%E6%A8%99&text=%E7%BE%8E%E5%AE%B9%E5%B8%AB%E9%9B%A2%E8%81%B7%E7%8E%87%E3%81%AF48.0%25%EF%BC%88%E5%89%8D%E5%B9%B4%E6%AF%941.5%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88,%E5%89%8D%E5%B9%B4%E6%AF%940.2%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88%E5%A2%97%E5%8A%A0%EF%BC%89%E3%80%82

 

なぜ美容師は辞める人が多いのか?その原因を紹介

美容師の高い離職率の背景には、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。ここでは、主な原因を5つの観点から詳しく解説します。

 

労働環境の厳しさ

美容師の仕事は、見た目以上に過酷な労働環境にあります。多くの美容師が長時間労働になるケースも多いとされています。また、美容師の仕事は基本的に立ち仕事であり、長時間にわたって立ち続けることは、足や腰に大きな負担をかけるでしょう。

 

さらに、美容室は土日祝日が最も忙しくなるため、一般的に平日休みの勤務形態が多くなります。これにより、家族や友人との時間を持つことが難しくなり、プライベートな生活との両立が課題です。

 

また、美容師の仕事は身体への負担も大きいです。ハサミやドライヤーを長時間使用することによる腕や肩の疲労、化学薬品を扱うことによる皮膚への影響など、身体的な負担が蓄積していきます。さらに、常にお客様と接し、高品質なサービスを提供し続けることは、大きな精神的ストレスを伴います。

 

これらの厳しい労働条件が、多くの美容師、特に若手美容師の離職につながっていると考えられます。

 

給与面での不満

美容師の収入に関する問題も、高い離職率の一因とされています。厚生労働省による「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、理容・美容師の平均月給は27万7,600円です。サロンによって差がありますが、労働時間の割に安いと感じる人が多いとされています。

 

加えて、キャリアを積んでも、それに見合った給与の上昇が見込めないケースがあります。技術や経験を積んでも、収入が大きく増えないという現実は、将来への不安を感じさせ、転職や離職を考える一因となっています。

 

これらの要因により、美容師の中には将来の経済的安定性に不安を感じ、転職や離職を考える人も少なくありません。

 

ただし、給与面は、サロンによって大きく差がありますので、あくまで参考程度にすることをおすすめします。

 

参照:厚生労働省|令和5年賃金構造基本統計調査

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001213360&tclass2=000001215880&tclass3=000001215884&cycle_facet=tclass1&tclass4val=0

 

人間関係のトラブル

美容室という密接な環境での人間関係も、離職の要因といわれています。小規模なサロンが多い美容業界では、上司や同僚との関係が仕事の満足度に大きく影響します。チームワークが重要な美容の現場で、人間関係のストレスが蓄積すると、それが離職につながるケースもあるでしょう。

 

また、美容師はお客様と直接接する仕事です。時には難しい要望や苦情に対応しなければならず、これが大きなストレス源となることがあります。お客様の期待に応えられなかったときの挫折感や、クレーム対応の精神的負担は決して小さくありません。

 

良好な人間関係は仕事の満足度に直結するため、これらの問題は美容師の離職率に大きな影響を与えています。

 

キャリアアップの難しさ

美容師としてのキャリアパスが不明確であることも、離職の要因の一つです。忙しい日々の中で、新しい技術を学ぶ時間や機会が限られるケースもあります。常に変化する美容トレンドに追いつくためには、継続的な学習が必要ですが、それが十分にできない環境では、自身の成長を実感しにくくなります。

 

また、多くのサロンでは、明確なキャリアパスが示されていません。アシスタントからスタイリストへの昇格基準や、その後のキャリアの道筋が不明確な場合、自身の将来像が描きにくくなるでしょう。自身の将来像が描けない環境では、モチベーションの維持が難しくなります。

 

キャリアの展望が見えにくいことは、特に向上心の高い美容師にとっては大きな不満となり得ます。

 

ワークライフバランスの崩壊

美容師の仕事は、個人の生活とのバランスを取ることが難しい面があります。不規則な勤務時間や休日出勤により、自由な時間の確保が難しくなります。友人や家族との時間を十分に持てず、プライベートな生活が犠牲になりがちです。

 

また、美容師の仕事は個人の技術や感性に深く関わるため、仕事から完全に離れることが難しい場合があります。休日でも新しいヘアスタイルや技術について考えてしまうなど、オンとオフの切り替えが難しくなる場合もあるでしょう。

 

特に結婚や出産後のキャリア継続が困難だと感じる美容師も多くいます。子育てとの両立が難しい勤務形態や、長時間労働が、ライフステージの変化に対応しきれない要因となっています。

 

このようなワークライフバランスの崩壊は、長期的なキャリア継続を困難にする大きな要因となっています。仕事と私生活のバランスが取れず、心身の疲労が蓄積し、最終的に離職につながるケースも少なくありません。

 

自分に合ったサロンを見つける方法

美容師として長く活躍し、充実したキャリアを築くためには、自分に合ったサロンを見つけることが重要です。以下に、サロン選びのポイントと具体的な方法をご紹介します。

 

サロン選びのポイント

サロンを選ぶ際には、まず労働環境に注目しましょう。勤務時間や休日の設定が適切かどうか、残業の頻度や残業代の支払い状況、福利厚生の充実度(社会保険、有給休暇など)を確認しましょう。また、実際に職場を見学する機会があれば、職場の雰囲気や清潔さもチェックポイントになります。

 

給与体系も重要な選択基準です。基本給の額、歩合給の計算方法と条件、昇給・賞与の有無とその条件などを詳しく確認しましょう。また、給与明細の透明性も重要なポイントです。明確で公平な給与体系は、長期的なモチベーション維持につながるでしょう。

 

教育制度も見逃せないポイントです。新人研修の内容と期間、継続的な技術研修の機会、外部セミナーへの参加支援などが充実しているサロンは、自身の成長を実感しやすい環境だといえるでしょう。また、メンター制度の有無も、技術向上とキャリア形成の面で大きな助けとなります。

 

キャリアパスの明確さも重要です。昇進の基準と道筋が明確か、スタイリストになるまでの平均期間、独立支援制度の有無などを確認しましょう。また、講師やヘッドスパ専門など、多様なキャリアオプションがあるかどうかも、将来の選択肢を広げる上で重要です。

 

求人情報の見方

求人情報を見る際は、表面的な情報だけでなく、より詳細な情報に注目しましょう。勤務時間、休日、給与体系などの労働条件が具体的に記載されているかどうかをチェックします。また、教育制度や福利厚生について、研修制度や社会保険の加入状況などが明記されているかも確認すべきポイントです。

 

さらに、サロンの特徴や強みがどのように記述されているかにも注目しましょう。そのサロンがどのような点を重視しているのか、どのような美容師を求めているのかを読み取ることで、自分との相性を判断する材料になります。

 

転職エージェントの活用

美容業界に特化した転職エージェントを活用する方法もあります。エージェントは、個々のスキルや希望に基づいて求人情報を提供してくれるだけでなく、面接対策や条件交渉のサポートもしてくれるため、効率よく転職活動を進めることが可能です。

 

エージェントを利用することで、インターネット上には載っていない非公開求人にもアクセスできる場合が多いです。また、自己PRや履歴書の書き方、面接でのアドバイスなど、転職活動全般をサポートしてくれるため、自分一人で行うよりも安心です。

 

ただし、転職エージェントを利用すると、場合によっては手数料が発生するケースがあります。また、エージェントを介しても、希望条件に合う求人が見つからない場合があること考慮しておきましょう。

 

先輩美容師への相談

すでに経験を積んでいる先輩美容師への相談も有効です。実際に働いているサロンの現状や業界のリアルな状況を聞けるため、求人情報だけではわからないサロンの雰囲気や働き方を知れるでしょう。

 

美容師資格を活かせる道も検討しよう

美容師としてサロンで働くだけでなく、資格を活かして他のキャリアにも挑戦できることをご存知でしょうか。以下では、美容師資格を活かしたさまざまな仕事についてご紹介します。

 

派遣美容師

派遣美容師は、特定のサロンに所属せずに複数のサロンやイベントで仕事をするスタイルです。自由度が高く、働く場所や時間を選べるため、ライフスタイルに合わせた働き方が可能です。派遣美容師としての経験を積めば、多様な技術やお客様に対応できる力を身につけられます。

 

エステサロン

エステサロンでは、フェイシャルケアやボディケアを担当する美容師が多く活躍しています。美容師資格を活かして、髪だけでなく肌や体全体の美しさを提供できるため、美容全般に興味がある方にはおすすめです。

 

ヘアメイクアップアーティスト

ブライダル、撮影、舞台などで活躍するヘアメイクアップアーティストも、美容師資格を活かせるキャリアの一つです。創造的なメイクとヘアスタイルのスキルが求められるため、芸術的な感覚を持つ方には特に魅力的な仕事です。

 

美容部員

美容部員として、化粧品メーカーや百貨店などで働く選択肢もあります。美容に関する知識や技術を活かして、化粧品の販売やアドバイスを行うことで、多くの人々の美をサポートできます。接客が得意な方には特に向いているでしょう。

 

美容学校講師

美容師としての経験を活かし、美容学校で後輩を指導する道もあります。次世代の美容師を育成する責任感ややりがいがある仕事であり、美容業界に貢献したいという強い意志を持つ方におすすめです。

 

ヘッドスパ専門店

ヘッドスパ専門店では、頭皮や髪のケアに特化した施術を行います。リラックス効果や育毛効果が期待できるため、リラクゼーションやケアに関心のある美容師にとって、やりがいのある職場です。

 

美容製品開発

美容師として培った知識や経験を活かして、美容製品の開発に携わる道もあります。化粧品メーカーなどで新しい美容製品のアイデアを出し、製品開発に貢献することで、美容業界全体に影響を与える可能性があるでしょう。

 

美容ライター

美容雑誌やウェブサイトで美容に関する記事を書く美容ライターも、美容師資格を活かせる仕事です。文章を書くのが得意で、美容に関する知識やトレンドに精通している方に向いています。

 

自分に合ったサロンを探そう

美容師としてのキャリアには、自分に合ったサロンを見つけて働くだけでなく、美容師資格を活かしたさまざまな道が広がっています。転職エージェントの活用や先輩への相談を通じて、適切なサロン選びを進めることはもちろん、派遣美容師やエステサロン、ヘアメイクアップアーティストなど、興味のある分野に挑戦することも視野に入れてみましょう。自分に合った環境で、美容師としてのスキルを最大限に発揮し、より充実したキャリアを築いてください。

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